世界的な建築資材の高騰を受けて安価なパイプハウス倉庫の需要が高まっています。
ここではパイプハウス倉庫の構造と従来の軽量鉄骨造(またはD型倉庫)との大きな違い
などを少しご説明したいと思います。
両者では根本的に設計思想が異なるので単純にコスト面だけ比べて選んでしまうと
「鉄骨より安いので建てたが思っていたのと違った」なんて事も。
今回はお客様によく質問される強度についてご紹介していきます。

強度は大丈夫(積雪荷重)?

お客様に必ず聞かれます。ここで言う強度は屋根の積雪荷重と単純な衝撃による強度です。
そしてここが通常の軽量鉄骨造やD形ハウスとの大きな違いになります。
この積雪荷重の考え方ですが
通常の鉄骨造=建物が何センチまでの雪の重さに耐えられるかで設計。
 屋根勾配と地域で数字が変動しますが概ね1m前後かと思います。
 つまり屋根に雪が積もる前提の設計なので具体的に何センチまで大丈夫と明言できます。
パイプハウス倉庫=屋根に雪が堆積しないよう自然滑雪を促す設計。
 もちろん屋根に30㎝程度雪が堆積しても倒壊する事はまずありませんが、30㎝
 堆積しても雪が自然滑雪しないのであればもう積もる一方なので放っておけば倒壊待ったなしです。
 強度は大丈夫?の答えですが基本的に自然滑雪するよう設計しますので大丈夫ですが悪条件重
 なると瞬間的に堆積するので油断はしないで下さいとお答えします。
 また、トラスアーチ等で強度を上げる事は可能ですが物理的な補強には限界があり価格を大きく押 
 し上げ、パイプハウスの最大の利点であるコストメリットが薄れるのでご注意下さい。
 歯切れが悪くて恐縮ですが注意喚起の甲斐あって弊社の雪害による倒壊件数はゼロです。

札幌にあるパイプハウス倉庫。豪雪後の写真ですが建設後、一度も人力で雪下ろしをした事はありません

強度は大丈夫(衝撃)?

パイプハウス倉庫の被覆材ですが大きく分けて以下の3種類が主流となっています。
被覆材によって強度も変わるのでご紹介します。

    • POフィルム 

    • ポリカ波板

    • 板金(ガルバリウム鋼板)

POフィルム

パイプハウスに於ける最も一般的な被覆材で特段の理由がなければこちらをおすすめします。

メリット
滑雪効果が高い
安価でコストパフォーマンスに優れる
遮光遮熱効果がある
軽微な損傷なら補修テープでどなたでも処置出来きる
叩く引っ張る等の衝撃には強い

デメリット
カラスの突き等、鳥害に弱い

おすすめの用途
牛舎や乾草庫、重機の倉庫など幅広くおすすめします。
鳥害等で屋根に穴を空けられる可能性があるので精密機械や絶対に濡らしたく
ない物品の格納には注意が必要です。

ポリカ波板

メリット
滑雪効果が高い
遮熱遮光効果がある
鳥害含めあらゆる衝撃に強い

デメリット
POフィルムに比べ高価
経年劣化により割れやすくなる(耐用年数は10年程度)

おすすめの用途
雨漏りリスクが少ないので堆肥舎や濡らしたくない物品の格納におすすめ。
そのため屋根のみポリカを施工するお客様が増えています。

競走馬坂路 屋根のみポリカ波板

板金(ガルバリウム鋼板)

メリット
耐用年数が長い(15年以上・塗装メンテナンスをする事で30年以上)
衝撃に強い。凹んだりはしますが鳥害の可能性はありません

デメリット
POフィルム・ポリカに比べ滑雪効果が低い
遮熱効果が低い

おすすめの用途
積雪の多い地域で側面の立ち上がりのみの使用に適しています。
滑雪効果がPOフィルム・ポリカに比べて低いので屋根への使用は絶対に避けて下さい。積雪荷重の考え方の項目で触れましたが構造的に滑雪を阻害する要素はNGです。そのため当社では屋根への板金施工はお断りしています。鳥害や雨漏りリスクを考慮されるなら屋根の被覆材はポリカ波板をご検討下さい。

側面立ち上がりに板金施工

走攻守完璧なパターンは残念ながら無いので地域・予算・用途に応じてご検討下さい。
ご相談頂ければ最適なパターンをご提案致しますので遠慮なくご用命下さい。